大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(オ)461 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人森信一の上告理由第一、第三、第五点について。

原判決挙示の証拠を対照すれば、所論指摘の原審の証拠の取捨ないし事実認定は

これを首肯するに難くない。所論はいずれも原判示に副わない事実若しくは独自の

見解に基いて原審の裁量に属する証拠の取捨判断ないし事実認定を非難するに帰し

採用の限りでない。

同第二点について。

本件売買契約にあたり上告人Aは被上告人に対し被上告人が本件不動産を他に転

売する場合には優先的に自分に売つて貰いたい旨要望し被上告人が右申出を了承し

た事実は原審の認定判示するところであるが、右判示はたゞ被上告人が上告人の前

記のような希望を了承したにすぎないことを示すにとゞまり、いまだ確定的に上告

人主張の買戻の特約若しくは再売買の予約が成立した趣旨を判示したものと解し得

ないことは右の判示に照らし明らかである。所論も結局原審の裁量に属する証拠の

取捨ないし事実認定に対する非難にすぎず、上告適法の理由となすを得ない。

同第四点について。

上告人は原審で被上告人からの明渡要求までの期限の猶予、買戻および新たな売

買の三個の事実を本件工場の占有権原として主張したところ、原判決は証拠により

後二者についてはこれを否定し、前者については被上告人からの明渡の申入により

期限の到来したことを認定判示したのであるから、現在他に正当な権原のあること

の主張立証はない旨の原判決の判示は相当であり、また執行吏佐藤が本件工場を管

理している旨の所論指摘の事実を被上告人が争つていることは記録上明白であり、

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裁判所はこの点につき上告人に立証を促すべき職責を負うものというを得ない。そ

れ故所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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